夕方、近所の神社へお参りしに住宅街を歩いた。少し向こうで道を横切るサバトラの猫が見えたので、なんとなく追っかけて同じように反対側へ渡った。サバトラはこっちに向かってくる。
俺に気づいた。進路変更しようと振り返ったサバトラの目前に、白猫がおった。会話でも始まるかと眺めた瞬間、白がサバトラに襲いかかった。サバトラが跳んで逃げた道路へ、ベンツが走ってくる。
静寂になった。
どすん! という音で聴力が戻った。
羽毛のような白いのが、低く舞い散った。
目を背ける暇もなく、すべて視野のなかにあった。そのままサバトラが走り去ったのを、不幸中の幸いと思いたい。タイヤに巻き込まれたりせず、車体の横っ腹に突進したものらしい。路面に血痕は見あたらんかった。
わずか十数秒前、俺がサバトラを追っかけて道路横断さえしてなければ。大声をあげたいような、震えるような、すこし乱れた呼吸になったまま神社へ向かった。
